ABOUT Collection     

 2013年から始まったストアハウスコレクションは、今年で7年目を迎えます。これまで韓国、マレーシア、タイ、台湾、そして日本から24作品が参加しています。
 さて、ストアハウスコレクションと名付けたこの小さなフェスティバルが開催される目的は、もちろん演劇作品の蒐集にあります。しかしそうはいっても、演劇の蒐集は蝶や切手を集めるようにはいきません。
 それは演劇作品を収蔵するためには、その作品が上演された時間や場所、出演した俳優や観客を含めて保存しなければなりません。それらの全てのものを冷凍保存できる巨大な冷蔵庫でもあれば、シベリアの永久凍土の中で時々発見されるマンモスの牙のように、生き残ることは可能かもしれませんが、そんなことは不可能です。
 ご存知のように演劇は生まれてはすぐに消えていく運命にあります。例えば上野ストアハウスの場合、ほとんどの劇団が、月曜日に小屋入りし、日曜日には立ち去ります。つまり、その命はせいぜい1週間。まるで蝉です。
 しかし僕は、そのことを決して否定的にとらえているわけではありません。どちらかといえば、逆です。蒐集することが困難で、保存することも困難だからこそ、演劇は語り継がれていかなければならない。そんな風にも考えています。
 ストアハウスコレクションには様々な時間が流れ、様々な風が吹きます。彼らは交流を超え、交歓し、今ここに生まれる意味や価値を交換します。
 そして、僕は、その場面を記憶しなければならない。
 いつだって、バラシが終了した後の劇場はシーンと静まり返っています。蝉の声も聞こえません。その場に突っ立った僕は考えます。そして、その場に突っ立った私たちは考えます。
 いったい、私たちは、何を蒐集しているのでしょう。何を記憶し、何を語り継いでいくのでしょう。
 そんなこんなのストアハウスコレクション。
 乞うご期待。

 

                           ストアハウス代表 木村真悟